『本屋さんのある街で』 読書レビュー

本の感想

本屋さんや本屋さんに関わる人のお話を

  • 瀬尾まいこ
  • 一穂ミチ
  • 坂木司
  • 凪良ゆう
  • 三浦しをん

この5人の作家さんがそれぞれ描いています。
 
5つの物語はそれぞれ全く別の登場人物、ストーリーで、長すぎず短すぎず、
気が向いた時に読むのにちょうど良いボリュームになっています。

瀬尾まいこ『続きは書店で』

ショッピングモール内の閉店が決まった書店でアルバイトをする青年と、
同じショッピングモールで占い師をする女性との交流。
青年が楽しそうにアルバイトしているのが微笑ましい。
彼はお客さんにおすすめの本などよく自分から話しかける。
なかなか本屋さんで自分から接客してくる店員さんはいないので
こんな店員さんいたらびっくりするけど、ちょっと面白いかも。

一穂ミチ『歌うように生きて』
飲み会で出会った女子大生、鈴森潤と中国人男性リウ。
気心が合う二人は交流を深めていく。
ある時、リウから一冊の詩集を紹介される。タイトルは『月光落在左手上』
その日を最後にリウは中国に帰ることになり、後日リウの消息を衝撃の事実と共に
知ることになる。きっともう会えることはないと悟る潤。
その後、大手出版社で編集の仕事をしていた潤は中国の出版社で働いていた移住者と
知り合い、一緒に中国人が気軽に通える書店をオープンする。
そこには詩集『月光落在左手上』も置かれていた。
中国語を勉強した潤はその詩集の意味も分かるようになっていた。
詩集の歌をつぶやいてみる。いつかリウが会いに来てくれることを願いながら…

坂木司『手に取って見てみろよ』
本屋さんの前で振られた男性が、税理士の友人と新たな書店を立ち上げる。
実際に本屋さんを始める難しさや、出版社と書店をつなぐ取次会社さんが
本屋さんにとってなくてはならない存在だと分かったり、知らなかった本屋さんの裏側を
知ることができて興味深く読めたお話でした。
ネット通販で本も買える時代に、実際に本を手に取って、中身を比べることができる書店を
作りたいと頑張る二人。主人公の男性が一見受け身で頼りなさそうなのですが、
アドバイスを素直に聞いて新しいアイデアを思いついたり、ダメ出しをされても
反省し、色々な問題に柔軟に対応する姿は、仕事を成功させるのに大切な姿勢だなと感じました。
凪良ゆう『小鳥たち』
夫から突然離婚を切り出された、40代女性が主人公。
子供が出来にくい身体の彼女に、夫は「好きな人が出来た、彼女は妊娠している」と
告げられる。
夫と離婚し、実家に戻った彼女は父親が経営する書店を引き継ぐことを決める。
新たな書店は書籍の数を減らし、カフェを併設した店にするため改装を
進めていた。そこに準備中とは知らずふらりと本を見に男性客がやって来る。
彼は中学時代に密かに恋心を持っていた同級生であった。
彼もまた仕事や家庭状況に悩み、心に傷を負っていた。
開店準備を終え、新規オープンしたお店はお洒落すぎない内装にしたのが好評で、
古くからの常連さんにも受け入れられ、人々の憩いの場所になっていた。
同級生の彼もお店を気に入ってくれていた。鳥が羽を休める止まり木のような存在だと。
お洒落なお店も素敵だけど、心が疲れている時には眩しすぎることってありますよね。
しんどい時は頑張りすぎず、ちょっとしたことを楽しみに生きていくだけで
大丈夫だよと思わせてくれる優しいお話です。

三浦しをん『見晴らし書店の一日』

曾祖父の代から続く「見晴らし書店」の四代目として後継になることを決めた主人公。
家族経営の本屋さんの一日が描かれています。
歴代経営者の高齢化で家族の体調を気遣いながら頑張る四代目が頼もしい。
『見晴らし書店』は長年、地元の本屋としてやってきて、本と出会う場所でもあり、
地元の人がちょっとおしゃべりをする憩いの場でもある。
なぜ、人は本屋で道を尋ねるのか?という四代目の積年の謎には、確かに!と
笑ってしまいました。
本屋さんはそこで売っているものをいくら手に入れてもお腹はいっぱいにならないし、
暖も涼も取ることはできない。生活にあってもなくてもいいものを売っているけれど、
町に一軒も本屋さんがなかったら寂しい。生活に潤いを与えてくれる本屋さん
にこれからも頑張ってほしいと思いました。


普段何気なく行っている本屋さんだけど、色々な本屋さんを巡って
私も自分のお気に入りの本屋さんを見つけてみたいです。

つむぐ

大阪在住。50代主婦。
40代後半に職場の近くの図書館で本を借り始め読書に目覚める。
本を読んでみたいけど、何を読んだらいいの?
面白い本があったら知りたいという方に向けて本のレビューを書いています。

つむぐをフォローする
本の感想
シェアする
つむぐをフォローする
タイトルとURLをコピーしました