豊かな自然に囲まれた瀬戸内の島で出会った高校生の櫂と暁海。
不安定な家庭環境で毎日を送る二人は一緒に過ごすことに落ち着きや安らぎを感じ
互いに惹かれあう。
時が流れ生活環境が変化していく中、すれ違い、傷つけ合いながらも
成長していく二人の15年間を描いた物語です。
歴代の本屋大賞作品を順番に読んでいる頃にこの作品に出会いました。
高校生同士の恋愛小説かな?50代の私が読んで面白いかな?なんて思っていたら、
想像していた若者の恋愛モノじゃなく夢中で読んでしまいました。
一度目は図書館で借りて読みましたが、すぐに本屋さんに買いに走り何度か
読み返しているお気に入りの小説です。
人は生まれてから人生を終えるまで一人では生きていけない、
どんな人でも必ず誰かと関わり合って生きていくのですが、
この主人公の二人は自分の母親に大きく人生を左右されます。
私だったらこんな母親とは絶縁して自由になりたいと思うけれど
この二人は自分の人生は母親ありきと考え、絶対に見捨てず
今どう行動するのが一番良いのかを懸命に考えながら生きていきます。
瀬戸内の島という狭いコミュニティの中で暮らすことで
言われもない噂話や、田舎独特の価値観に生きづらさを感じている人々の様子や、
自分と違う価値観を否定し、SNSで誰かを徹底的に批判し傷つける
現代のコミュニケーションの在り方なども描かれています。
主人公の二人は良いことも悪いことも色々なことがあるのですが、
どんな時もお互いを大切に想っていて、相手のことを考えすぎてすれ違うこともあり、
やるせなく胸が苦しくなる場面もあるのですが、二人がどうなるか気になって
どんどん読み進めてしまいます。
人との関わり方や、自分らしく生きることの大切さを考えさせられる一冊でした。
2026年10月9日に横浜流星さん、広瀬すずさん主演で映画が公開されます。
瀬戸内の自然を映像で見られること、お二人がどんな演技でこの作品を表現されるのか
とても楽しみです。

